2022年に実施された学習到達度調査(PISA)において、日本の15歳の読解力は81カ国中3位となり、2018年調査の15位から回復しました。そのようななか、「『読む力』があるだけで、人生は変わる。勉強はもちろん、仕事の理解力にも、人間関係にも、情報選別にも、すべての土台になる力なのです」と語るのは、5人に1人を東大合格に導いた経験を持つ、市野瀬教育研究所所長・市野瀬早織さんです。そこで今回は、市野瀬さんの初の著書『東大合格者が身につけた 一生使える「読み方スキル」』より一部を抜粋し、読解力の大切さをお届けします。
日常生活の観察力・洞察力が読解の助けとなる
かつて勤めていた学校では、高校2年生の現代文の授業テーマが「近代を知る」でした。
しかし生徒たちは明治時代に西洋に留学して、自由に生きることを選択している人々がいることに衝撃を受けた、当時の日本人の気持ちを綴った夏目漱石の文章が理解できませんでした。
現代と常識が違いすぎて、どういうことかすぐに把握できなかったのです。
ところが、いまと昔の「対比」に注目することで、身近な「現在に関する理解」が、逆になじみのない「過去に関する理解」を促してくれるということを知ったのです。
つまり、日常生活から観察力、洞察力をもって身の回りのことと接していると、それが難解な文章の読解でも「あのときに感じたことと同じだ!」と気づきを与えてくれる可能性を高めるのです。