「テレビに魂を売った奴」

それまでは、どちらかというとアングラな世界にいたので、鳥肌実さんやゴキブリコンビナートさんが好きだった。そして、私自身も近いところにいたと思う。それが、メジャーの中心にいくのだから、それまでメジャー否定を酒の肴にしていた仲間たちには、「テレビに魂を売った奴」呼ばわりされて、私は確かに何かを失っていたのかも知れない。

事務所に入って数年後、「青木さやか」はとても有名な女芸人の1人になる。「青木さやか」は、周りが作ってくれた女芸人だと思う。影の立役者の1人は当時のマネージャーさんで、彼は必殺仕事人のような人だった。

『笑っていいとも!』に初めて出たときには、
「青木、袖から出たらセンターに30秒くらいかけてゆっくり歩いて、カメラ目線でポーズとってから、ゆっくりタモリさんのほう振り向いて」と。

「どこ見てんのよ!」のポージングも、
「青木がハッと相手の目線に気づいたタイミングをテレビ見てる人にしっかりわかるようにして、満を持して叫ぶ、でやって」というように。

『ロンドンハーツ』で私がダイエットする企画や彼氏と出る企画も、マネージャーさんが『ロンドンハーツ』の演出の加地ディレクターに「青木さやか」をプレゼンしたところからスタートしているのだと思う。「青木さやか」は加地ディレクターやマネージャーさんやワタナベや、ほかにもいろいろな方たちの力でできあがっていく。

もし私に才能があるとしたら、このマネージャーさんをはじめとするみなさんの、次から次へと出てくるなかなか難しめの指示と仕事量に、しっかりとついていけたことだろう。この能力は、やはり母の教育の賜物だと感じる。やりたいわけではないことだとしても、しっかりと指示通りやる。そして相手は、あなたのため、と思っている。子どもの頃と、とても似ていた。

〈後編につづく

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