腰痛や猫背、尿漏れなど、年齢とともに気になる不調の背景には、体幹を支えるインナーマッスルの衰えがあるといわれています。「着物離れや生活様式の変化によって、インナーマッスルを使う機会が確実に減っている」と語るのは、山陰地方で呉服店「和想館」を営む和と着物の専門家・池田訓之さんです。かつての暮らしでは、日常動作そのものが「自然なトレーニング」として働いていたといいます。池田さんに、和装生活が身体にもたらす影響や、着物とインナーマッスルの関係について解説いただきました。
*医療情報監修:大野原良昌さん(医学博士、母と子の長田産科婦人科クリニック・副院長)
洋服は「固定」、着物は「包む」
足腰の痛み、猫背、尿漏れなどの悩みをネット検索すると、共通して「インナーマッスル」なる言葉に行きつくと思います。
2010年代から体幹のインナーマッスルトレーニングに注目が集まり、スポーツ選手以外の一般の方もスポーツジムに通うようになりました。ですが、わざわざトレーニングの時間をとらなくても、実は着物を着ているだけで身体は変わるのです。
洋服と着物とでは身体との関係性が根本的に異なります。洋服は曲線裁ちで身体の形に沿わせて仕立て、身体の動きをある程度「固定」してくれますが、着物は直線裁ちで身体を単に「包む」だけです。
この違いが身体の使い方に大きな影響を与えるのです。
