中世史研究の基本「文書=現実」ではない
学生時代、私は日本史研究室(当時は国史研究室)の石井進先生、史料編纂所の桑山浩然先生から、くり返しくり返し、このことを教えられました。
例えば、ある武士が将軍から、「土地Aをお前に与える」という文書を受け取ったとします。
しかし、その瞬間に土地Aが本当に自分のものになる、とは限りません。
現地へ行ってみれば、「その土地のボス」的な有力者が居座っているかもしれない。
地元の武士たちが、素直に言うことを聞いてくれないかもしれない。
つまり、中世社会においては、「文書が存在すること」と、「その内容が現実化すること」は、全くの別問題なのです。

