大学では「ゲーム同好会」に入っていた。好きなゲームの話題を持ち寄ってただ話すだけの時間。そんな時間が、青峰は何より好きだった。

 大村茜とも、そのサークルで出会った。「アオ」というのは青峰がオンラインゲームで使っていた名前で、それがそのままあだ名になった。

 茜は壮大な世界観を持つRPGやアドベンチャーゲームが好きだった。ゲーム制作にも興味があるらしく、フリーゲームなどで幾つか作品を作っていた。確か、茜の作品が傑作だとサークルの中で盛り上がって、同人ゲームを即売会イベントで頒布したこともあったのではなかったか。

 サークルには色んなタイプの人間がいた。レトロゲームしかやらない人間から、最新作を欠かさず追いかけて最速でレビューする人間まで。それこそ、茜のように作り手側を目指す者もいた。

 ゲーム同好会に入って良かったのは、ただ「ゲームが好き」という共通点だけでは測れない「好き」の多様さを知ったことだ。例えば青峰にとっては攻略本やサイトを頼るのはあり得ないことで、全て自力でやってこそと思っていたが、攻略本に載っているマニアックな情報やコラムの面白さを他のメンバーに教わった。おかげで、今ではプレミアのついている本がどれかまで判別出来る。

 近頃動画サイトで流行りの「ゲーム実況」を楽しめるようになったのも、サークルでの経験が大きい。それまでは自分で遊ぶのが一番だと思っていた。推理系のアドベンチャーゲームしか遊んだことがないとある会員が「アマガミ」というゲームのキャラに一目惚れしたのが全ての始まりだった。面白いのでゲームソフトを買い与えて、部室でプレイさせることにしたのだ。一切口出しをせず、ただ見守る。毎週木曜日の昼に講義をフケてこれを見るのが、何よりの楽しみになった。