(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)
厚生労働省の「令和5年(2023)患者調査」によると、在宅医療を受けた推計外来患者数は年々増加傾向にあるそうです。そんな中で、2000人以上を看取った在宅緩和ケア医・萬田緑平先生は、「涙を乗り越えた患者さんは幸せな死を受け入れる強さを持てる」と語ります。そこで今回は萬田先生の著書『死ぬまで生きる: 穏やかな死に医療はいらない』(河出書房新社)より一部を抜粋し、お届けします。

はじめに

医師のキャリアのスタートだった外科医から在宅緩和ケア医に転身して、今年で18年になります。最近、メディアや講演会で僕が紹介されるとき、枕詞のように「2000人を看取った在宅緩和ケア医」というコピーがつくようになりました。

僕の本の帯(表紙カバーに巻かれている紙のことです)にも高い確率で、この枕詞が使われています。

とにかく、「萬田といえば、2000人」らしいのですが、僕が初めて病名と余命を告知した患者さんのことをお話ししたいと思います。

小学校の音楽教師で3人のお子さんがいる小林和恵さん。医師になって2年目の僕は、和恵さんから本当にたくさんのことを教えてもらいました。