自分が学んだことのある臓器の専門家

日本の医師のほとんどは、自分が学んだことのある臓器の専門家にすぎません。ほかの臓器のことになると、ほとんどわからないのです。医者が「この治療がいい」「この薬が体にいい」という意味は、その医者が専門にしている臓器にとっていい薬だという意味です。体全体にとっていいという意味ではありません。

こういった臓器別医療では、薬は増えるばかりだし、その人の体調を本当の意味でよくすることはできません。その場その場の症状をわずかに抑えることができるだけです。

『医者の言うことを聞いてはいけない』(著:和田秀樹/興陽館)

特に高齢者に必要なのは、体全体を診て「これでは薬が多すぎるから、必要なものから3~4種類、選んであげるね」と言ってくれる診療です。つまり、総合診療なのです。

しかし、残念ながら、この総合診療が日本にはまだ根付いていません。今の大学病院の体質では、それが実現するのはおそろしく時間がかかりそうです。