「サルコペニア」と「フレイル」の違いは?

高齢者で筋力が落ちている状態は、サルコペニアやフレイルと呼ばれる。サルコペニアとフレイルという言葉は、同じような意味で使用されることもあるが、定義上は明らかな差がある。

サルコペニアが、単なる筋力低下を指すのに対して、フレイルは筋力低下に加えて認知や心理的な問題があり、社会との交流の減少がある状態を指す。ただ、フレイルの語源が英語のfrailty(脆さ、か弱さ)なので、サルコペニアと混同して使用されるのも仕方がない。

『東大名誉教授が教える 死なない生き方 科学でひもとくアンチエイジングと健康寿命』(著:北村俊雄/日経BP 日本経済新聞出版)

コロナ禍で、高齢者が感染を避けるために外に出ていかなくなったことは、フレイルの状態にある人を増やすことになった。

部屋に閉じこもっていると、筋力が落ちるだけでなく、社会との交流が希薄になる。筋力が低下すると、部屋の中でも外でも転びやすくなり、時には骨折や大きな怪我につながってしまう。筋力低下や骨折は、高齢者がますます外出しなくなる原因となる。

外出しないと、太陽の光を浴びる機会が少なくなるため、ビタミンDが不足する。ビタミンDの不足は、骨粗鬆症だけでなく筋肉量の減少にもつながる。

このような状況下で外出しなくなり、社会との交流が希薄になると、物忘れが多くなり、認知症発症のリスクも高まると言われている。これらのことを避けるためにも、筋力を保ち、外に出て、社会とのつながりを保つことは大事だ。

一度フレイルの状態になっても元に戻すことができるのが、フレイルの特徴なので、諦めず運動して回復をめざそう。そうは言っても転んだりすると危ないので、部屋の中で、万が一転んでも怪我をしない場所で運動などを行うことが重要だ。