そう。たとえば共演者のセリフの応酬が続くワンシーンの後半に、僕のセリフが1行だけあるとするでしょう。そこで僕がNGを出すと、全員で頭から撮り直し。本当に迷惑をかけました。『あぶない刑事』を改めて観てみたら、僕のセリフの直前になると共演者たちの顔に、妙に力が入るのよ。(笑)

吉田 アハハハ! 「頼む、NGを出さないでくれ!」と全員に緊張感が走るんですね。(笑)

 こんなことでいいのかと思うけど、甘やかされてここまできてしまった。あと、気分次第で現場から帰っちゃったこともありました。……あれ? 気分で帰りますよね?

吉田 帰りませんよ!(即答)

 ある時、僕は「20時にデートの約束があるから、18時までに上げてくれ」と言っていたんです。そうしたら、共演の仲村トオル押しで18時半まで撮影が続いて。なので、「バイバイ!」と帰っちゃった。

吉田 すごいですね。

 そうしたら近藤課長役の中条静夫さんが、「舘さんがお帰りになったから、今日はここまでにしましょう」って。それでみんな帰ったそうです(笑)。そういった自由な空気が、今はなくなっちゃいましたね。システムのなかで映画を作らなきゃいけなくなった、と言うのかな……。

本来この世界って、自由でいい加減で、何が起こるかわからないくらいがちょうどいいと思うんです。でも今はみんな、セリフも間違えずにピシーッとやるでしょう?

吉田 そういう話が聞きたかったんですよね! 舘さんから聞けるのがすごく嬉しいです。

 僕らの仕事って、キチッキチッとしたところじゃなく、遊びやゆとりのなかに生まれてくるもの。もうちょっと余裕があってもいい気がしますね。

後編につづく

【関連記事】
<後編はこちら>吉田鋼太郎「抱っこしたりあやしたり。幼い子ども2人の世話が、体にも脳にも心にもいい影響を与えている気がします」【『免許返納!?』対談】
舘ひろし「メンバー4人は最強」柴田恭兵「〈72歳2ヵ月とテロップ入れて」8年ぶり『あぶない刑事』復活!
舘ひろし「生まれ変わっても渡哲也さんの舎弟になる。父であり、兄であり、人生の師…」
2人が共演する映画『免許返納!?』は6月19日より全国公開中!

舘ひろしさんと吉田鋼太郎さんの対談記事が掲載されている『婦人公論』7月号は好評発売中!

『婦人公論』7月号の目次・購入はこちら