だから、あんたは、するな
何日間かたって夫に「どうしたいの?」って聞いたら、図々しくも「別れたくない」っていうのよ。嘘でしょう。
「私はお金に困らないから、私が出ていってもいいわよ」と伝えたら、「嫌だ」って。
もう何も考えたくなくて、荷物をまとめて家を出ようとした。玄関を開けようとすると夫もついてきて、2人してポンと外に出て……「どうするのよ」って、顔を見合わせた。
「僕も一緒に家を出て、出て行った先で一緒に住む」って訳わかんないことを言うのよ。
「相手とは結婚する気はなかった」っていうし……。
森光子さんと橋田ママからは、「絶対に別れるな」って言われた。
「別れたら『捨てられた』『選ばれなかった女だ』って一生涯言われるのよ」って。
特に森さんは、ご自分のつらい経験も踏まえて言ってくれていた。彼女は舞台の昼公演と夜公演の合間にご主人に呼び出されて、劇場のすぐそばで「子どもができたから」と離婚届を出されたんだそう。
「悔しい思いを私はしてるのよ。だから、あんたは、するな」って。
※本稿は、『ピン!として逝くのもいいじゃない ピン子78歳、最後に残したい言葉』(徳間書店)の一部を再編集したものです。
『ピン!として逝くのもいいじゃない ピン子78歳、最後に残したい言葉』(著:泉ピン子/徳間書店)
「本当に自分の人生をまとめて残すのは、これが最後。全部言うわよ」
78歳・泉ピン子の、笑って泣ける自伝エッセイ集。




