なぜ「多重事故物件」が生まれるのか
では、なぜ殺人が多発するような「多重事故物件」が生まれるのか。
大島氏によると、その原因は「間取りや周辺環境」が精神に与える悪影響や、「極端に低い賃料」などにある。
「事故物件」という事実そのものが「入居者の精神に影響を及ぼす」ために、不安感から情緒不安定になって自殺……というルートもあるらしい。言わばマインドコントロールによる事故物件化で、こうした傾向は、古典文学の事故物件の中にも見いだされる。
古典文学にはこの手の、繰り返し不幸が起きる事故物件に対する呼び名もある。
“凶宅”だ。
凶宅とは古代中国の「風水説に基づく一種の俗信」で、「居住する者に祟りをなす不吉な邸宅」を指す(岡村繁『新釈漢文大系97 白氏文集一』「凶宅詩」解題)。
もちろん古典文学には、凶宅と名指しこそされないものの、明らかな凶宅もあるし、歴史上の人物にもこうした曰く付きの物件に関わってしまった人たちも少なくない。
このように、事故物件はずっと昔から存在し、注目されてきたのである。