東京都福祉局のデータによると、全国の摂食障害の外来患者は約21万人と推計され、女性や若年層に圧倒的に多くみられるそうです。そんな中、摂食障害に苦しんできた元当事者であり、その経験を活かして摂食障害に悩むご本人やお母さんたちの心のケアにあたっている公認心理師・大橋とも先生は「むちゃ食いする・食べ吐きする・食事を食べない。それは『わがまま』ではなく『心の病気』です」と語ります。そこで今回は大橋先生の著書『わが子が摂食障害になったら読む本』より一部を抜粋し、回復へと至る道筋と、お子さんとの温かなコミュニケーションが復活するノウハウをお届けします。
「言葉の引き出し」で、「太った」「太ってない」のエンドレスパターンに終止符
私がカウンセリングした中で、お母さんが聴く姿勢を崩さずに根気よく付き合った結果、お子さんが改善したケースをご紹介しましょう。
高校1年生のEさんは幼稚園からダンス教室に通っていました。地域のお祭りやイベント、ショッピングセンターでの催しなど、大きなステージが年に何回かあります。ステージに立てるのはオーディションを勝ち抜いたメンバーだけ。Eさんはダンスの技を磨きながら、ステージ映えするヘアアレンジ、メイク、そして体型維持にも気を配って努力を怠りませんでした。
Eさんのお母さんはダンスに打ち込む娘をずっとサポートしてきました。レッスンの送迎、食事管理、衣装の準備などは大変でしたが、ステージでソロを任される娘を見ると苦労も吹き飛びました。
あるときEさんは足首を怪我して1か月ほどレッスンを休みました。久しぶりに復帰すると、思った以上に体が動きません。レッスン着もきつくなったように感じます。実際、休んでいる間に体重が2キロ増えていました。
それまでオーディションは連戦連勝だったEさんですが、復帰後初のオーディションではメンバー入りを果たせませんでした。振り付けを覚える時間もなく、足首も万全ではない状態では仕方がないのですが、Eさんの落ち込みはとても大きなもので、「体重が増えるのだけは防げたはずなのに」と、食事を極端に減らすようになりました。