「太っている」という強い思い込み

お母さんはEさんの様子を心配して、なんとか食べさせようと工夫をします。

「カロリー計算はちゃんとしてるから大丈夫よ」

「糖質はカットしてあるから、安心して」

以前はお母さんの栄養管理に全幅の信頼を寄せていて、選り好みせずに食べていたEさんですが、怪我をしてからは、どんなに説明をしても「自分が適量」と考えた量しか口にしなくなりました。

「ねえ、しっかり食べないと体力も落ちてダンスできなくなるよ」

「筋肉が減って骨ももろくなって、また怪我をするよ」

と、食べるように説得を続けるお母さんにEさんは答えます。

「でも、私、食べ過ぎだよ。お腹出てるもん」

「ウエストはチームで一番、太いよ」

『わが子が摂食障害になったら読む本』(著:大橋とも 監修:松本功/ビジネス社)

その度に、お母さんは「そんなに食べてないし、お腹出てないよ」と一生懸命に打ち消しました。

でも、Eさんの耳にはお母さんの言葉は届きません。何度も何度も繰り返します。

「いや、太ってるよ」

「だって集合写真で一番太いもん」

お母さんはEさんに必死で伝えます。

「そんなことないよ。Eは太ってないよ。大丈夫だよ」

すると、Eさんは、机をバンと叩き、

「もういい! お母さんは何もわかってない!」と部屋を出ていってしまいました。