「言葉の引き出し」を使う

そのとき、お母さんは感じたそうです。

「今まで、不毛なやりとりが続いたのは、私が火に油を注いでいたからかもしれない」

お母さんが「言葉の引き出し」を使うようになると、それまでの「お互いにイライラするやりとり」が、普通の会話へのきっかけになることも増えました。

あいかわらず「太ってる」「そう思うのね」の問答から始まるのですが、しばらくすると「ねえ、**大学って舞踊学科があるんだって」と、体型以外の話題がEさんの口から出るようになったのです。

ダンスへの情熱、将来の夢、オーディションの悔しさ、体重管理を怠った後悔など、プラスとマイナスの思いでEさんの気持ちは混乱していました。

最初は「今すぐこの子の食べ方の問題を解決したい」、「この子の苦しさを、なんとかしてあげたい」とお母さんは必死でした。

けれど、「娘のすべてを受けとめる」と方向転換したとき、状況は確実に変わっていきました。Eさんの言葉と気持ちをひたすら受けとめたおかげで、Eさんの感情の荒波は少しずつ穏やかになっていき、摂食障害もしだいに落ち着いていったのでした。

※本稿は、『わが子が摂食障害になったら読む本』(ビジネス社)の一部を再編集したものです。

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わが子が摂食障害になったら読む本』(著:大橋とも 監修:松本功/ビジネス社)

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