(撮影:藤澤靖子)
家族であっても、お互いの価値観は違うもの。対話が難しく、ケアがうまくいかない……と悩むことはありませんか? 英文学者の小川公代さんも、最初は母親と衝突していたそうです。どのように、今のいい関係を築いたのでしょうか。(構成:野本由起 撮影:藤澤靖子)

前編よりつづく

意見が対立したら「ひと手間」かけて

さらに思いを強くしたのは、「救急車事件」です。「仕事一筋」で生きてきた私とは違い、母は長年にわたってケアに身を捧げてきた人。育児、家事、介護と、常に誰かのために尽くしてきました。

こうしてケアに従事してきた人は、「他人に迷惑をかけたくない」という気持ちが強いものです。ある時、私の勤務中、母から「血圧が200を超えた」と電話がかかってきました。

病院に電話したところ、18時を過ぎていたため、すでに受付は終了。そこで救急車を呼ぼうと言ったのですが、母は「迷惑がかかるから」と断固として応じてくれないのです。

私としては一刻も早く呼びたかったけれど、まず救急車を呼ぶべきかどうか相談できる「救急相談センター」に連絡。「呼ぶべき」と言われ、ようやく母を納得させることができました。