お休みした2年間で自分の音楽を探して
2019年の3月に「Kalafina」を解散したときには、ソロデビューする日が来るとは思っていませんでした。それどころか自分はもう歌うべきではないとも考えていたのです。私のなかには、Kalafinaの世界観は、求められるものがあって初めて構築できるという思いがあり、皆さんの期待に応えたい一心で走り続けた10年間でした。それだけに、中途半端な気持ちでは再び歌うことはできないと、引退も頭によぎっていました。
それに、体調が悪かったこともあり、まずは休養したかった。本当に何もせずに家で過ごしていましたが、家族と話をしたり、食卓を囲んだりしているうちに心も体も癒やされていきました。その後も祖母と過ごす時間がきっかけで和装の学校に通ったり……。
ゆっくりと過ごし、心と体を静養させていくなかで、これまで支え、見守ってくださった関係者の方とお話をしながら、音楽を作る環境へと変化していきました。周囲の方々が背中を押してくださらなければ、こんなに早く復帰はできなかったと思います。
お休みしていた約2年間は、これから自分がどんなふうに音楽と関わっていくのか、あるいは、自分にとって本当に音楽が必要なのかを見極めるためのいい時間でした。「音楽制作をしたい」という答えを導き出してからは、これまで積み重ねてきたことに何をプラスすれば自分の音楽を見つけることができるのだろうと考え、多くの人の意見に耳を傾けながら、ソロ活動に向けての歩みを進めてきました。
ソロとして再デビューが決まり、初めて歌う新曲「命の花」では、作詞にも初挑戦しています。試行錯誤を重ね、最終的には言葉の放つ「響き」を大切に作り上げていきました。「命の花」は物悲しいメロディーの歌ですが、声の表現としては温かく包み込むようにして歌うことが課題。これもまた大きな挑戦です。