勘とは、失敗で手に入れるアプリケーション
勘とは、「自ら目論んでやってみる→失敗する→目論見との一致・不一致を検証する→次の目論見を構築する→最初に戻る」というループの果てに手にする小脳のパッケージプログラムなのである。しかも、情動が起こる(心を動かす)ことが、パッケージプログラムの質を上げる。勘とは、人に会い、失敗し、身体と心を動かすことで培う脳のアプリケーションなのだ。
失敗して胸の痛い思いをすると、脳は、失敗に関連した回路に信号が行きにくくなるよう処理をする。ニューロン信号の受容体の閾値を上げて、信号を受け取りにくくするのだ。つまり、失敗を重ねれば重ねるほど、脳は、とっさに失敗しにくい回路になっていくのである。逆に、成功して嬉しい思いをすれば、その回路には信号が行きやすくなる。
現場に出て、泣いたり笑ったりして経験を重ねれば、「とっさに、成功しやすく失敗しにくい回路に信号が流れる」状態になるってこと。これが、ベテランの勘なのである。現場に出て、上司に小突かれ、顧客の反応に泣いたり笑ったりしながら、ベテランになっていった昭和平成世代は、プロの勘を自然に手に入れたはず。思い返してほしい。30代半ばくらいまでは、それ以降のような「脳の確信」がないまま、意思決定していたことを。それがいつの間にか、きっぱりと意思決定できるようになってきたはずである。