『ぶらんこ乗り』『トリツカレ男』など、数々の名作を生み出してきた小説家・いしいしんじさん。いしいさんは、ある時突然かかってきた「人生案内の回答者をやりませんか?」という一本の電話をきっかけに、老若男女から届く様々な相談に真摯に答えてきました。今回は『人生不案内』より一部を抜粋し、いしいさんに寄せられたこころの声と、本気のこころで向き合った回答をお届けします。
社内の女性にフラれた
60代の男性会社員。勤務先の女性との関係について相談します。
彼女が役員の秘書、私はその役員が担当する部署の課長でした。バレンタインデーにプレゼントをもらって意識するようになり、お礼のメールを送ると「今度飲みにいきましょうね」と。社交辞令と思いながらも「喜んで」と返信。本当に飲みにいき、自分でもなぜ?と半信半疑な気持ちで、楽しい時間を過ごしました。
それからも彼女から手を振る日々で、彼女が好きな野球観戦にも行く楽しい関係でした。しかし彼女の異動後、メールの返信は少なくなり、ランチに誘っても既読スルー。直接聞くと、「その気はない」と。
もう諦めようと思いましたが、自分は家内とは家庭内別居で、娘からは「離婚しかない?」と言われました。60代を迎え、今後の生き方に気持ちが揺れ動いています。
(埼玉・R男)2021.07.18