医師によると、発作は一時的に脳の血流が悪くなることで起こるものだそう。短時間で回復するものの、脳梗塞を発症するリスクが高まるのだと言います。そのときは、「血圧を上げないように」とだけ言われました。
診断は下ったものの明確な治療法がないなかで、「いつ発作が起こるんだろう」と不安を抱えながら舞台に立つのって、ものすごい恐怖なんですよ。
毎回起こるわけではなく、きっかけもはっきりしない。公演中も舞台袖で「大丈夫だ、大丈夫だ!」と自己暗示をかけてね。そんなふうに怯えながら芝居をしても、楽しくないじゃないですか。
すでに3回も発作が起きている以上、舞台を降りることも考えないといけない。僕はお客さんにご迷惑をおかけするのが一番嫌いなので、このへんで一区切りつけるべきだと思いました。
最後の舞台になったのは17年12月、新宿の紀伊國屋ホールで上演された『田茂神家の一族』。佐藤B作主宰の劇団東京ヴォードヴィルショーの公演です。自分の劇団じゃなく、親友の劇団の舞台で終わるのがシャレてるなと思いましたね。(笑)
すべての公演が終わったときはホッとしたと言いますか、責任を果たしたという気持ちでした。映像の仕事は続けるから、役者そのものをやめるわけじゃない。年齢も70歳になる手前で、ちょうどよかったかな。こうして振り返ってみても、舞台人生に何の悔いもありません。