小川さんが描いたスケッチ画。花冠に使用されるギンバイカ

恩師の言葉に心が動いて

今振り返ると、私がこの道へ進むきっかけを与えてくれたのは2つ年上の姉です。大の本好きである姉が、私の11歳の誕生日プレゼントに本を選ばせてくれ、手に取ったのが、ギリシア神話の本でした。以来私は、西洋、とりわけ古代ギリシアに興味を持ちはじめました。

ギリシア語を学びはじめたのは、1966年にお茶の水女子大学史学科に入学し、聖書を読むためのギリシア語入門講座に参加してからです。そして古代ギリシア史を学びはじめました。

女性で大学に進む人は3%ほどの時代に進学し、さらに大学院でも学ばせてもらえたのは、両親のおかげでした。研究者を志しながらも家のためにその道を断念した父は、私の進学を応援してくれたのです。

ただ、良き理解者であった父は、私が大学3年の時に他界。母は私の大学院進学を認めるか迷ったようですが、父が応援していたからと、ずっと支援してくれました。

だからでしょうか、学んだことをいつか社会に役立てなければ、という思いを強く抱き、勉強に励んでいたのです。

ところが、大学院博士課程在学中に結婚した私は、まもなく2人の息子を授かりました。当時は、今のように保育制度も整っていない時代。研究者だった夫は、フィールドワークで長期出張も多く、小さな子どもを2人抱えてアカデミアの道に残ることは難しい状況でした。