ちゃんと生活できているはずなのに、どこか満たされず、「このままでいいのかな」と感じたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんな中、精神科医Tomy先生は「大切なのは、世間の基準に合っているかではなく、自分が納得しているかどうか」と語ります。そこで今回は精神科医Tomy先生の著書『人生迷子 - 立ち止まったときの処方箋 -』より一部を抜粋し、「『人生迷子』を抜け出す方法」をお届けします。
何かやらなきゃとは思うけれど、「今さら始めても遅い」「若い人にはかなわない」と思うとできない。
たしかに、若いほうが有利なことはたくさんあります。体力、瞬発力、吸収の速さ。競技スポーツの世界なら、20代前半がピークという分野も多いでしょう。しかし、同時にこういうことも言えます。
人間の能力は、年齢とともに「なくなる」のではなく、「質が変わる」と。
発達心理学では、加齢は一方向の衰えではなく、「獲得と喪失のバランス」で進むと考えられています。ポール・バルテスの生涯発達理論(1987)では、どの年代にも成長の可能性と適応の余地があると示されています。
たとえば、言語能力や語彙力は年齢とともに蓄積されやすいですし、経験に基づく判断力(結晶性知能)は中年期以降も保たれやすい。人間関係の調整力や共感力は、経験とともに洗練されていきます。
たしかに処理速度のような能力は若年期が有利ですが、代わりに「統合する力」「意味づける力」は成熟していきます。つまり、若いときとは、能力の「種類」が変わっているに過ぎないのです。