「△を〇に近づける提案を」

『風、薫る』場面写真
『風、薫る』/(c)NHK

医事考証の仕事は多岐にわたる。病気や症状、手術シーンなどの設定や描写が不正確ではないか、監修し、助言。撮影現場に立ち会い、手術シーンでの医師の動きなどを指導するケースもある。

冨田さんは、『風、薫る』では、脚本の土台となる準備稿の段階から関わってきた。

「脚本で書かれている内容について問題なければ〇、一般の方にはわからないけれど専門家が見たらちょっと思うところがありそうなものは△、絶対にダメなものは×と、三段階に分けてコメントしています。△の場合には、より〇に近づけていくように提案しています」と明かす。

たとえば『風、薫る』では、スタッフから虫垂炎の外科手術を提案されたことがあったが、「明治時代前半、虫垂炎は外科手術をしていなかった。乳がんについては、江戸時代後期の医師・華岡青洲は、1804年に世界で初めて全身麻酔下による乳がん手術を成功させた。有吉佐和子の小説『華岡青洲の妻』などで多くの人に知られているため、視聴者も明治時代の手術として乳がん手術なら受け入れやすいと考えました」