「完璧ではないこと」への共感

さて、映画本編『プラダを着た悪魔』(2006)に戻りますが、まあこの作品におけるミランダの部下に対するパワハラっぷり、今なら訴訟になりそうなほどですが痛快。出勤するなりコートをアシスタントの机に投げ捨て、無理難題を押し付ける。もう無茶苦茶で最低です!

これをアイドル顔の年下の部下、アンディにぶつけ続けるのだから、観ている方(特に女子)は、留飲が下がるわけです。とはいえアンディを演じるアン・ハサウェイもたれ目で唇が大きめのアヒル顔。その「完璧ではない可愛さ」も共感を呼んだかも!

個人的に好きなのは、ミランダの第1アシスタント、小意地の悪いアンディの先輩「エミリー」(エミリー・ブラント)。なぜなら美に憧れる悪あがきの権化だから!

たいていの女子にとってハイブランドは憧れ。でも、買うのは無理だしモデルになる程美人でも背が高くもない。ファッションに近づく手段といえば、服の販売員かアパレル商社勤務。ちょっと敷居は高いけど、可能ならファッション誌の編集者なんて、やってみたいですよね。

イラスト提供:さかもと未明さん

 

本作はその設定で、「本当にありそうな夢物語」をフィルムに収め、成功したんだと思います。俗的な欲望全開の普通の女子代表エミリーが、「ファッション」という怪物相手に必死に奮闘する様が、なんともいじらしく愚かで、若い頃の自分を見ているよう。

Part2ではエミリーの思いがけない復活ぶりに、わくわくしましたね。この人も『メリー・ポピンズ リターンズ』で主演を務めたおかた。憎まれ役は、名優でないとできないのは世の常。ミランダを演じたメリルと同じですね!