Tシャツとデニムは鬼門

たまに小粋に着こなしている老人がいるが、たいていはファッション関係かマスコミ関係だ。ふつうの人はチノパンにした方が無難だと思う。

それでなくても年をとると、膝の屈伸がつらくなる。硬いデニム地は向いていないと思う。

『80代になるとたいていボケるか死ぬ。70代は神様から与えられた特別な時間』(著:林真理子/幻冬舎)

私の友人はパリのフォーシーズンズに泊まった時に、いつもデニム(おばさんだからジーンズか)を穿いていた。思わず、

「ちょっと……何もここで……」

と言ったところ、

「まわりの人たちによく言われるのよ。ジーンズ穿いてすごいね、って。うちの家内はもう何十年も穿いていないよって」

と得意そう。

そうか、彼女にとってデニムというのは若さの象徴なのか、と納得だが、あれからさらに月日はたった。年寄りのデニムは、よほどカントリーライフになじんでいない限りは、似合わないと思った方がいい。自宅で穿く分には勝手であるが、あの素材はもはや硬すぎて年寄りにやさしいとも思えない。

とにかくTシャツとデニムは鬼門。場合によっては「イタい」アイテムそのものになる。

年寄りにとって「イタい」という評価ほどつらいものはない。