短編900編以上執筆

阿刀田高さん
阿刀田高さん

1935年生まれの91歳。20歳の時に結核になり、1年半の療養生活を送った。早稲田大学卒業後は、国立国会図書館で勤務。仕事の傍ら執筆活動を始め、1978年に『冷蔵庫より愛をこめて』で小説家デビューした。79年には短編集『ナポレオン狂』で直木賞を受賞。デビュー以来執筆した短編は900編以上に上る。

「アイデアは若い時というか、自分がまだあまり書いていない未開のうちのほうがよく浮かびました。年齢の問題というよりも、さんざん書き尽くしてきましたから。アイデアが浮かばなかったらどうしようもないでしょう。良い小説を届けたい思いは変わらないけれど、ひと区切りつけようと思ったんです」

たくさんのユニークなアイデアから、物語が生まれてきた。長年書き続けてきたのが備忘録。20冊近くになる。思いついたこと、気づいたことを1行でもいいから書くことで浮かんだアイデアを逃さないようにしてきた。

「アイデアを使ったら赤線を引いていくんです。寝ていて急にアイデアが浮かんでこれでいこう!という時もたまにはありますけれどね。最近は、備忘録につけるようなこともあまり思い浮かばないかな。それでもまったくつけないわけじゃないんですが」

阿刀田高さんのアイデアが書かれた備忘録
阿刀田高さんの備忘録

原稿用紙に鉛筆での執筆スタイルはデビュー以来変わらない。昔は名前入りの専用の原稿用紙を作っていたが、最近では近所のスーパーやコンビニエンスストアで原稿用紙を購入している。

「筆を執り始めた時には、だいたい作品はできあがっています。エッセーでも小説でも、書き始めたら、ほとんど一気に書く。書く仕事は自分の頭の中のものを紙にコピーしている感じですね。今は、字を書くのが本当に大変で。情けないような字になっているんですよ」