嫉妬には相手の性別が関係する?
思い返してみると、私は男性にはそこまで強烈に嫉妬をしていない。本が売れていたり活躍していたりする様子を見て「いいなあ」くらいの羨ましさはあるけれど、どこか別ジャンルとして見ている。
仕事のプレッシャーや社会の理不尽を綴った文章も、「なるほど。男性には男性の苦労があるんだなあ」と、ドキュメンタリー番組を観るような気持ちで冷静に楽しむことができる。
それがとても素晴らしい文章でも、自分の足元が脅かされるような焦りは生まれないのだ。
対して同性のエッセイストの場合、少しでも評価されていると、どれだけ新人でも、先輩でも、腹の底からグツグツと嫉妬心が沸いてくる。足元がグラつく感じがして、居ても立ってもいられなくなってくる。
どうやら嫉妬には相手の性別が関係するみたいだ。
男性の文章には、素直に笑って感動できるし、イベントでお会いすると「いつも読んでます」と朗らかに挨拶ができる。
これが女性となると、そうはいかない。作品を読んでも、素直に感動できない。
「この一文で弱さを見せて共感を狙ってるのでは?」「自虐を入れて好感度のバランスをとってるな」「うわー、この言い回し。“文章うまいでしょう?” って心の声がダダ漏れなんですけどー」といじわるな読み方をしてしまうのだ。
笑わせられても悔しいし、感動させられても悔しい。「ちくしょう! 私だってこんな文章を書きたい!」と妬ましくなる。
実際に会う機会があると、どんな顔で、何を身に付けていて、どんな喋り方や仕草をしているのか、頭のてっぺんから爪先まで舐め回すように見てしまう。文章、関係ないだろ。
もちろん、すでにSNSをかなり昔まで遡って、どんな生活をし、どんなものを食べ、どんな人たちと交友関係を築いているのかはチェック済みだ。
それでも、やっぱり実物は違う。生身の人間のとして、改めて勝負だ。
「文章では負けてるかもしれないけど、私の方が背が高いし、服がオシャレ! 勝ち!」
なんの勝負してるの? アホなの?
