「身バレ」を防ぐには

「職務質問」の話が出たついでにいうと、たとえ相手が一般の警察官とはいえ、公安捜査員は身分を軽々しく明かせないので、時と場合に応じた対処法で切り抜ける。これが公安としての腕の見せ所でもある。

公安も警察手帳は持っているが、提示しているところを監視対象者(以下、対象者、あるいはターゲット)に見られる恐れがあるので、簡単に提示するわけにはいかない。

『警視庁公安部外事課 スパイ・テロを水面下で阻止する組織の実態』(著:勝丸円覚/光文社)

そんな時は、まず「目の前の警察官がどんなタイプなのか」を見極めることに徹する。

もし体育会系の警察官なら、その場で身分を明かすことはせずに、こう言う。

「交番へ行くから勘弁してください」

そして、交番の中で手帳を提示する。経験上、こういうタイプはいくら言葉で説明しても理解してくれないことが多いからだ。

また、もし気の利いた風の警察官なら、小声でこうささやく。

「俺はハムだよ」とかね。

「ハム」は公安の公をカタカナにしたものなので、わかる人にはわかる。場合によっては、警察学校の校歌のサビの部分を小声で歌ったりすることもある。