目の前で事件発生
身分を明かせないがゆえに、歯がゆい思いをする場面も多々ある。
たとえば、スパイを追う任務を遂行中の公安捜査員は、目の前でひったくりなど他の犯罪が発生した場合、取り押さえはしても、そこから先の対処ができない。あくまで、目下のミッションに専念しなければならないからだ。
犯罪は軽微なものであっても犯罪であることに違いはないが、物事には優先順位がある。公安としては、そういう犯罪は別の警察官に任せなくてはいけない。
その場でひったくり犯を取り押さえ、現場検証をしたり調書を書いたりといった正式な手続きを踏んでいる間に、国や国民に重大な被害を与えかねないスパイやテロリスト予備軍を逃がしてしまうかもしれない。だから公安は、もし軽微な犯罪者を捕まえたら、近くの警察官をすぐに呼んで、気前よく手柄を譲る。
※本稿は、『警視庁公安部外事課 スパイ・テロを水面下で阻止する組織の実態』(光文社)の一部を再編集したものです。
『警視庁公安部外事課 スパイ・テロを水面下で阻止する組織の実態』(著:勝丸円覚/光文社)
日曜劇場『VIVANT』(TBS系)の監修もつとめる元警視庁公安部外事課の著者が、
日本を舞台に繰り広げられるスパイ活動の実態を明かす。




