日本有数の産婦人科医・原田省さんの病院改革
鳥大病院の病院長は先駆的な考えと地域医療に目を向けた豐島良太病院長(後に鳥取大学学長・学長在任は2013年〜2021年 病院長の在任期間は2007年4月〜2011年3月)から連なり、北野博也病院長(2011年4月〜2015年3月)、清水英治病院長(2015年4月〜2017年3月)、原田省(たすく)病院長(2017年4月〜2023年3月)、武中篤病院長(2023年4月〜現在)と続く。
低侵襲外科センターの初代センター長を務めた原田省さんが病院長になり、鳥大病院の改革は次のフェーズを迎えた。前出の清水病院長から2017年4月、鳥大病院病院長に就任した原田省さんは、産婦人科医。
兵庫県の豊岡市出身、鳥取大学医学部を卒業し1985年にイギリス・リーズ大学に留学、1989年に鳥大病院で助手、講師、准教授を経て2008年に鳥取大学医学部教授となった。主に子宮内膜症や卵巣ガンの研究を行い、産婦人科の臨床も数多く行ってきた。
特筆すべき経歴として、2000年にエイズウイルス(HIV)に感染した夫の精子からウイルスを除去した後、妻の体内に注入する人工授精を実施した。当時42歳、講師だった。子供への感染率は1万分の1以下といわれ海外では広く行われていたが、国内での実施は原田さんが第1号となった。その後、鳥大病院でのダビンチを用いた婦人科のロボット手術に深く関わることになる。
婦人科医師として多くの出産にも立ち会い、特に子宮内膜症の研究では世界をリード。世界中の学会や医師、研究者からも注目を集める。日本における子宮内膜症と月経困難症の治療薬の開発にも参画した。
のちに、鳥取大学学長になった、2025年には、日本家族計画協会の故・松本精一会長の名前を冠した、日本のリプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)分野において功績を挙げた第一人者に授与される「第29会 松本賞」を受賞している。飄々とした面持ちだが、芯が強く、明るい。それが私の原田さん評だった。