適応障害の可能性がある
彼のように職場での業務負担や対人関係の不和により、精神的な不調をきたす人は多い。こういったストレス要因がはっきりしているケースはうつ病ではなく、“適応障害”と診断することが多い。うつ病は明確なきっかけがなくても脳の働きの不調が生じ、気分が著しく落ち込むのに対し、適応障害は環境の変化やストレスにより一時的に心身の不調が起きるもので原因がなくなれば改善する。
「適応障害の可能性があると思います」
私がそう言うと、長野さんは「それって休職の診断書って出ますかね?」と再び問う。
「いきなり休職になると、引き継ぎもできずに突然休むことになってしまいます。病名を記載した診断書をお出ししますので、いったん会社に受診したことを共有してみてはどうでしょう。それから病気休暇が可能な期間も会社に確認しておいたほうがいいと思います」
私がそう提案すると、長野さんの顔が曇った。腕組みをして考え込む。その態度はどこか不貞腐れているようにも見える。