またしても遭遇……

それから数日後のこと。またその方と遭遇したので、ぼくは前回と同じ轍を踏まぬよう、かといって目が合ったら無視するのも気まずいので、下を向いたまますれ違おうとしたら、ぐいっと肩をつかまれたのです。

で、まさかの超絶親しげな笑顔で、

『となりの筋トレ 小説家は見た!ジムの愉快な日々』(著:森沢明夫/飛鳥新社)

「どうも、こんにちはっ♪」

ぼくは、その明るすぎる笑顔に気圧されつつ、

「あ、えっと、どうも、こんにちは」

と返しました。

なのに! その次に遭遇したとき、目が合ったので、恐るおそるぼくから挨拶をすると、またしてもポカ~ンとしたあと、

「え? あ、ど、ども……」

と、とても怪訝そうな返事をして、そそくさと風呂場へ消えていくではありませんか。まるで、ぼくが怪しい奴みたいに。

なんでやね~ん!

ロッカーでひとり呆然としているぼくに、知人が言いました。

「森沢さん、いまの人、知り合いなの?」 

出会ってから、かれこれ十数年間もこんなやりとりが続いているのですが、果たしてぼくは、あの人を「知り合い」と呼んでもいいのでしょうか?