バーチャルなコミュニケーションでの推し活

たとえば漫画『ガチ恋粘着獣~ネット配信者の彼女になりたくて~』(星来、竹書房、2020~2025年)は、ほとんどライブやイベントを開催しない動画配信者を推している女性たちの漫画である。

「好きだなぁホント…投げ銭? とかすんの? こういうの」

「しないよそんなの 私 コメントもしないもん」

「そうなの?」

「ああいうのは熱心な人がするんだって」

「(これは熱心じゃないのか?)」

「面白いコメントとか 書けないし別に……高評価押したりいいね押すくらいだな…」
(星来『ガチ恋粘着獣~ネット配信者の彼女になりたくて~』7巻)

「投げ銭」つまり金銭が介入し始めると熱心な推し活、ということだ。物理的移動はそこにない。インターネットの登場により、バーチャルなコミュニケーションで熱心な推し活が可能になったのである。

※本稿は、『推したちとどう生きるか』(新潮社)の一部を再編集したものです。

【関連記事】
おニャン子クラブがセーラー服というモチーフを利用した背景は。三宅香帆が読み解く「日本型アイドルの原型」
三宅香帆 現代の「推し活」は1960年代後半から始まっていた。審査員が親目線を強調した『スター誕生!』
三宅香帆「親子の絆だけでなく、もっと『夫婦』の物語を」現代日本のフィクションに見る「夫」の描かれづらさの理由

推したちとどう生きるか』(著:三宅香帆/新潮社)

日本人にとって推し活はもはや一時の熱狂ではない。

「推し活」文化の源流から令和の最前線までをひもとき、ポスト消費社会における「推しの構造」を鮮やかに読み解く。