愛情ゆえの搾取
また、母側つまりファン側が「好きだから」と搾取されてしまう構造もある。しばしば推し活で未成年が借金をしてしまう事例はこれにあたるだろう。
経済的に他者を搾取している人々のことを、「推し活」という言葉はどこかで甘やかしてしまう危険性を内包する。推し活のなかにも、消費を煽る仕組みが行き過ぎて、害をもたらす構造は存在する。
警視庁には、2020年頃から「メン地下」と呼ばれる男性の地下アイドルに関する相談が寄せられるようになり、2022年中には保護者からの相談件数が、前年の約3倍に急増し、中でも、16~17歳が多かったという(1)。警視庁が検挙した違法な性風俗店やJKビジネス店で働いていた女子高校生の中には、その稼働理由として、メン地下の応援のためという少女が複数いたと言われる。
このような構造は、推し活を利用した搾取である。ほかの犯罪と同様に裁かれるべきであろう。教育だからといって違法な手段で高額な塾費用を調達させるのは違法であるのと同様である。
(1)「メン地下にハマる少女たち──注意したい「推し活」の落とし穴#こどもをまもる」https://news.yahoo.co.jp/special/underground_idols/
※本稿は、『推したちとどう生きるか』(新潮社)の一部を再編集したものです。
『推したちとどう生きるか』(著:三宅香帆/新潮社)
日本人にとって推し活はもはや一時の熱狂ではない。
「推し活」文化の源流から令和の最前線までをひもとき、ポスト消費社会における「推しの構造」を鮮やかに読み解く。





