(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)
国士舘大学大学院客員教授・八幡和郎先生は、「近代日本において、全国のどこで生まれても地元の各都道府県に名門高校があり、良質な高校教育を受けることができることは国力の源泉となってきた」と語っています。当連載では、そんな八幡先生の著書『日本の名門高校 - あの伝統校から注目の新勢力まで -』から一部を抜粋し、全国の名門高校をご紹介していきます。今回取り上げるのは「旭丘高校」です。

旭丘高校 県立/共学/愛知県名古屋市東区

かつての「一中御三家」の名に恥じない全国公立高校の雄

愛知県は、いまも公立高校が有力だが、その頂点にあるのが旭丘高校だ。日比谷高校(東京都)、神戸高校(兵庫県)、旭丘高校を「旧一中御三家」といった時代があったが、ほかの2校が不振の時代も水準を保ってきた。2026年度入試でも、東京大学に29名、京都大学に33名、名古屋大学に59名を合格させている。

前身は明治3年(1870)に設立された藩立の洋学校である。近代的な学校を尾張藩が先行的に整備したものだ。廃藩置県ののちに愛知県に移管され、明治19年(1886)に愛知尋常中学となり、県立第一中学を経て、新制移行で市立第三高女と合併して旭丘高校となった。戦後、入試制度は、小学区制(昭和24~30年)、大学区制(昭和31~47年)、学校群制(昭和48~63年)、複合選抜制(平成元年~現在)と変遷してきた。

学校群時代は、旭丘高校と千種高校は名古屋二群をなしていたが、同時にそれぞれもうひとつの別の群にも属すややこしい制度で、そちらでは千種のパートナーの方がよかったので、結果、旭丘より千種の方が平均的に質が良い時期もあった。

現在の複合選抜の仕組みも複雑で、同じ群の高校のなかで第一志望と第二志望を指定できる。愛知県の場合、旭丘の群は第二志望候補のほかの高校の魅力がやや劣るのに対して、二番手人気の明和や一宮の群は第二志望に魅力的な高校が多くなっている。結果、旭丘高校に確実に合格できる生徒は旭丘の群を選ぶが、ボーダーラインにいる生徒は避けるので、東京大学や京都大学をめざす生徒は旭丘高校に集中する。

名古屋大学をめざす学生は、明和高校菊里高校向陽高校(ノーベル物理学賞受賞者・益川敏英の母校)、千種高校瑞陵高校、などのいずれも名古屋市内の県立高校を狙うことが多くなっている。