中村 2016年には都知事選出馬もありましたよね。

石田 出る寸前で断念しました。

中村 政治家になっていたかもしれない。それについて奥様はなんとおっしゃっていますか?

石田 「政治家にはならない、という約束で結婚したのに」と言われます、今でも。

中村 今でも政治家への関心はおありですか?

石田 世間から、「やっぱり政治家になりたかったのね」みたいに言われるのが自分としては一番嫌なので、今はラジオでも文筆でもYouTubeでも、自分のやれるところで発信していくのがいいと思っています。

 

自分にとって最大の幸運は

中村 石田さんのめげないメンタルはどこから来ているんでしょうか。

石田 トレンディドラマで脚光を浴びましたけど、若いころに苦労したことが大きいと思います。舞台をやっていた20代は売れなくて、本当に貧乏でした。大学時代の同級生がサラリーマンになっていくなか、自分だけ周囲から取り残されているような気分です。

父親(元NHKアナウンサー・石田武さん)からも、「夢ばかり追いかけないでまともな社会人になれ」とずっと言われていました。皿洗いのバイトや、一輪車で工事現場の砂利を運ぶ仕事なんかをずっと続けていて、いまでも青山一丁目の駅は自分が作ったんだと自慢しているくらいなんですよ。(笑)

中村 すごい話ですね、それは。

石田 そんな何もなかったころからひたすら前向きにやってきましたし、いつも明るく楽観的に生きていましたね。実際、自分自身すごくラッキーだと思います。世間様に叩かれても、妻はなかば呆れ気味に「あなたは図々しいから大丈夫なのよね」と言います。ひょっとすると、彼女が指摘するように、僕は真面目じゃないのかなあ(笑)。

自分にとって最大の幸運は、しっかり者の妻、理子と結婚したことかもしれません。彼女との間に3人の子どもを授かりましたし、壱成(最初の妻との子)もすみれ(2番目の妻との子)も、理子を中心に石田ファミリーとしてわが家に集まってくれます。

すみれは僕以上に彼女と連絡を取っていて、僕がいてもいなくても月に2、3回はうちにご飯を食べに来て、子どもの面倒を見てくれる。こうして僕たちが仲良くできるのも理子のおかげですね。僕はまだまだやりたいこともたくさんありますし、今回家族に心配をかけたぶん、もうひとがんばりしなきゃと思います。