(撮影:大河内禎)
私たちをとりまく社会は、今後どうなっていくのでしょう。将来への不安が続くなか、シニアが家計を守り抜くための知恵とは?(構成:内山靖子 撮影:大河内禎 イラスト:市村譲)

原油不足で生活必需品も値上がり

年金を家計の柱にし、堅実な暮らしをしているはずのシニア世代の生活が、なぜ今苦しいのか。原因は主に3つあります。

1つめは、2026年2月末に始まったアメリカ、イスラエルとイランの戦争でホルムズ海峡が封鎖され、原油を積んだタンカーが通航できなくなったこと。日本はもちろん、世界各国に原油が届かなくなり、原油をもとにした石油製品の値段が一気に跳ね上がりました。

LPガス、ガソリン、プラスチックや合成繊維、塗料、エンジン・機械に使用される潤滑油など、私たちの生活に欠かせない多くの物がこの影響を受けて値上がりしたのです。飼料の輸送コストが上昇し、それを食べる牛や豚など精肉の値段も上がる……というような派生的な影響もありました。

2つめは円安です。日本は食料や日用品全般に関し、輸入に頼る部分が非常に大きい国なので、円安が進行すればそれだけ家計への影響は深刻になります。

そして3つめは政府主導の値上げ。今年4月から「子ども・子育て支援金制度」が始まり、所得に応じて、医療保険料に200〜550円が上乗せされるようになりました。さらに健康保険法の改正により、8月からは高額療養費制度の自己負担限度額引き上げが始まり、制度利用者の約8割が負担増に。

現在は、これらの要因がトリプルパンチで私たちに襲いかかっている状況です。読者のみなさんが「生活が前よりも苦しくなった」と感じるのは当然といえるでしょう。