無事、2年が過ぎたお茶のお稽古は楽しいのだけれど、いつも、
「あれ、何だっけ」
と首を傾かしげている。お点前(てまえ)の順序などを記したノートもつけているのだけれど、それをやってもいざお茶室に行くと、失敗する。なんで失敗するのかわからない。緊張もしていないし、お点前を師匠はもちろん、兄弟子、姉弟子に観られても恥ずかしくはないのだけれど、それでも失敗する。前の週はできたのに、今週はできないのが不思議でならない。
それがとても簡単なこと、たとえば基礎中の基礎のお点前で、抹茶を茶碗に入れた後、水指(みずさし)の蓋を開けるのが手順なのだが、それを忘れる。棚や台子(だいす)を使うときは、柄杓(ひしゃく)などを最後に棚に荘(かざ)るので、点前の終わりに柄杓で水を汲んで釡に入れた後、すぐに釡の湯を汲んで、その湯をまた釡に戻すという、湯返しをするのだが、それを忘れる。
湯返しは柄杓の水分を早く蒸発させる意味もあるという。棚や台子を濡らさないための所作だと思われるが、師匠から、
「湯返しを……」
といわれて、はっと気がつく。お点前の前は、棚があるから湯返しがあるなと覚えているのに、最後になると忘れているのだ。それがいつもではなく、時折あるのが自分でも恐ろしいのである。
いろいろと恥をかいて過ごしているわけだが、70代はこんなものかなと思う。「あ、またやっちゃった」とか「失礼しました」といいながら、やり直しているが、自分に対して、
「どうしてそうなるのか」
と聞いても、返事ができないので、まあ、仕方がないかで済ませている。より上のお点前を教えていただくようになると、テキストがない。一点前、40分ほどかかるものもある。もう頭が爆発しそうなのだが、そういう自分が面白くて仕方がない。
「どうしてこんなふうになるんだろう」
とおかしくなってくる。ばかだなあと思うのだが、ばかはばかなりに自分を認めて、過ごしていけばいいのである。他の人に迷惑をかけてしまうのであれば、本当に申し訳ないのだが、今のところは大事になっていないので、まあ、いいかでのりきっている。
