わが家の年越し

わが家で年中行事にやっきになってるのは私一人である。大みそかには年越しそばを作った。われながら、いいお味である。

「できたよッ」

『食べるたのしみ』(著:田辺聖子/中央公論新社)

というと、

「ハイ、ハイ、ハーイ、ハイハイ、待ってましたァ」

と、これは亭主以下、四人の子供の老若高低さまざまの合唱である。配るが早いか、ツルツルッ。もうどんぶりはカラ。一同の目はヒタと一点をみつめたまま。紅白歌合戦を見ているのだ。おいしかったやろ、といっても声もない。過ぎにし方を思いやり、新しい年への感慨をこめて、ツルツル心静かにそばをすする、なんて気はないのかね。