正月にお雑煮を

正月。重箱のおせち料理に、お雑煮。床の間なんてものはないから、洋酒棚の上の壁に、色紙幅を下げて、松に鶴の色紙をそこへ掛けた。そうして、まだ眠ってる大供子供を叩きおこしてお雑煮を出したら、見なれぬ室内装飾と食べ物に騒然。

「パンないの、パンは。僕、餅キライや」
「お屠蘇よりビールのみたいな、お屠蘇のむならビールでもええでしょう」
「わたし、サンドイッチ食べたい」

(写真提供:Photo AC)

やかましい。日本文化を守るために孤軍奮闘の私は、お正月にサンドイッチなんか食べるものではありません、といわねばならぬ。

彼ら彼女らはよん所なくハムや蒲鉾だけを食べて、すぐ、

「お年玉は?」

とこういう時だけは日本古来の伝統文化にご執心である。亭主はいつになく初詣でを思い立ち、集合させると、みんなそれぞれ予約があって、心づもりするていで、

「わたし、三時ごろやったら、体あくけど」
「僕はこれから友達とこへいくさかい、まア、五時ごろやな」

と小学四年のチビに至るまでつきあいが忙しく「勝手にせえ!」と亭主はむくれて結局、二人だけで初詣でしたりする。