自分の仕事を整理して気づいたのは、私が考案する料理は体の悩みに寄り添ったものが多いということ。電子レンジ調理を思いついたのも、油控えめの治療食を考えていた時の発見でした。

ほかにも、介護食のレシピを考案したのは、自分自身が30代後半に、歯の治療跡が原因で慢性顎骨骨髄炎を患ったことがきっかけです。手術を繰り返し、義歯になったので、噛みやすい料理が必要だと感じました。

そして、5人家族から一人暮らしになり、より《自分ごと》として考えるようになった「一人ご飯」。

私が料理を考えるうえで心がけているのは、一人分でも介護食でも、絶対「これは美味しいよ」と言えるレシピにすることです。美味しくなければ、いくら体によくても、食べる気力がわきませんから。

あらためて食事が体を作っているのだと痛感したのは、3年前にスタジオで滑って転び、大腿骨を骨折してしまった時です。手術翌日にはリハビリを開始し、10日後には退院。仕事を再開して、お医者様や子どもたちに驚かれました。

この年になっても回復できる力があるのは、日頃から食事でしっかりと栄養を摂っていたからでしょう。「ひとは食べたもので出来ている」という格言は言い得て妙ですね。

<後編につづく>

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