「私はとても運の強い人間なんですよ」と言う

私は自分のことを「私はとても運の強い人間なんですよ」と言う癖がある。人に言うだけではなく、ほんとうにそう思っているのである。

私は辛いことがあると、いつでも、どうにか切り抜けて、90歳を越えて現在まで、生き長らえて来ているのである。

そう言う話を人にすると、「運だけではないんでしょう。それ相当の努力もしてらしたんでしょう」と言うが、自分ではあんまり苦しんだり、努力したりしたとは思っていない。

みな、忘れてしまったのかも知れない。忘れると言うことも、とても好(よ)いことですよ、とまた私は人に言うのである。

※本稿は、『宇野千代のことば 書いて、恋して、おしゃれして』(平凡社)の一部を再編集したものです。

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『宇野千代のことば 書いて、恋して、おしゃれして』(著:宇野千代/平凡社)

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