健康寿命を伸ばすには
南 日本人の男性の平均寿命は81.35歳で世界7位、女性は87.33歳で世界一長い。ところが健康寿命となると、グッと落ちますよね。
森下 そうですね。健康寿命を縮める要因としては、筋肉が衰えている、認知機能が低下してものが覚えられなくなる、脳や心臓の血管の病気で寝たきりになるなどがあります。
将来的には、骨・筋肉、血管、脳の年齢を測って、早い段階から「見える化」できる時代が来れば、衰えたところに積極的に介入できるようになるので、健康寿命もどんどん伸びてきます。
健康寿命を伸ばすために、運動する、食事に気をつける、睡眠を取るといった個人の努力は大切ですが、それだけでは限界があります。だから例えば、高血圧になりにくい、室内で気温の変動が少ない住宅を作るとか。既に開発されていますが、便の形や色を計測することで腸内の状態がわかるトイレを導入するとか……。
南 本人が頑張らなくても、自然と健康になる社会を作るということですね。
森下 これからは「病気にならないように頑張りましょう」だけではなく、社会全体で病気になりにくい環境を作ることが重要になると思います。個人ではみなさん努力したと思うんです。それが実際、健康寿命の伸びにもつながっています。
ただ、ここからさらに健康寿命を長くしようと思えば、社会構造全体に介入していく必要があるのではないでしょうか。抗加齢医学会では、「ゼロ次予防」と呼んでいます。老化自体を社会で防いでいく、そういう時代になってくると思います。