訪れたお客さんと笑顔で握手を交わす敏子さんの手は、柔らかく温かい(撮影:本社・武田裕介)
みたらし団子が名物の和菓子店で、長年にわたり店を支えてきた牧敏子さん。90代になっても、昔と変わらずに立ち仕事を続けることができるのはなぜか。元気の秘訣を伺うべく、お店を訪ねました。(撮影:本社・武田裕介)

昔は一日に50本くらいだった団子が、600〜900本出るように。その理由は…

敏子さんに会うと元気をもらえる

店は月曜と火曜が定休日だが、敏子さんに休みはない。

「店が休みの日でも、仕込みや、そのほかの仕事がありますからね。朝から、庭の植木や花の手入れをして、午後は店で菓子袋に値札を貼ったり」

自分にできる仕事を見つけては手を動かす。

「疲れないかって? 日々仕事があるから元気でいられるんですよ」

営業日は朝9時には店へ出る。団子を焼くのは昭美さんと由香里さんが中心だが、敏子さんも注文の電話を受け、お客さんと言葉を交わし、団子を包み、レジに立つ。

「最近は耳が遠くなってきて。団子2本かと思ったら、20本だったりすることもあるの」

お茶目な表情をしながら笑った、そのときだった。

「敏子さんに会いに来ました」

そう言って店に入ってきた女性二人組。話を聞くと、「テレビで見て、一度会ってみたかった」と、車で15分ほどかけて県内から訪れたという。

「はい、みたらし10本ですね。少々お待ちください」

敏子さんは慣れた手つきでレジを打つ。その間に、奥の作業場では昭美さんと由香里さんが団子を焼き始めた。注文を受けてから焼くのが盛華堂のこだわりだ。