「昨日も北欧からお客さんがいらしたんです。スマホで翻訳しながら、『敏子さんに会いたかった』って話してくれるの」
京都観光の途中にわざわざ足を延ばして来てくれたアメリカ人親子から、「会えてよかった」とハグされたことも忘れられない思い出だという。外国のお客さんには、敏子さんが折り紙で作った朝顔を贈ることもある。
「みなさん、とても喜んでくださるんですよ」
長年暮らしをともにしてきた昭美さんは、敏子さんの元気の秘訣をこう話す。
「やっぱり、よく食べることですかね。それから、お客さんに『97歳には見えない』『きれいですね』って声を掛けてもらうと、本当にうれしそうなんです」
由香里さんも、「おばあちゃんは日々進化している」と笑う。というのも、以前はほとんど口にしなかった肉類も、「体にいい」と聞いてからは食べるようになり、今では大好物になったからだ。
取材を終えた帰り際、敏子さんの長年の友人だという80代の女性が店にやってきた。
「あんた、肌がきれいだね。つやつやしとる」
「あんたもきれいだよ」
二人は顔を見合わせて笑い合い、しばらく楽しそうにおしゃべりを続けていた。
店先には笑顔が絶えない。敏子さんが書いた「不足を数えず 感謝に生きる」というこの言葉は、人生訓であると同時に、97歳になった今も元気に働き続ける秘訣そのものだった。