警察庁によると、2025年に一人暮らしの自宅で亡くなった人のうち、76.6%にあたる5万8919人が、65歳以上の高齢者だったそうです。「誰もがおひとりさま時代」ともいえる現代で、後悔しない家族じまい・ひとりじまいをするには、どのような心構えでいたら良いのでしょうか。そこで今回は、日本経済新聞社記者・高岡憲人さんの著書『家族じまい・ひとりじまい 誰もがおひとりさま時代の終活最前線』より、一部を抜粋、再編集してお届けします。
夫婦2人暮らしでも起きる「孤独死」
「なぜ、ここで寝ているのだろう。邪魔だなと思った」
東京都内の都営住宅に住む80代女性は、玄関近くの廊下に倒れている夫を見て、そう話したという。
2024年10月のある朝、デイサービスで女性を迎えに来た職員が、自宅で亡くなっている70代の夫を発見した。夫は病死で、死亡から数日が経過。ところが要介護3で認知症を患う妻は、夫の死を理解できなかった。
孤独死と聞くと、一人暮らしの高齢者を思い浮かべる人が多いかもしれない。しかし近年、家族などと同居しているにもかかわらず、死後も数日以上発見されないケースが全国で相次いでいる。関係者はこうした事態を「同居の孤独死」と呼ぶ。
大阪府の発表によると、25年に大阪市内で32人、過去9年間では234人が同居人がいるのに死亡後4日以上発見されなかった。同居の孤独死に法律上の定義や国の統計はない。現在、独自に集計しているのは監察医制度のある東京23区と大阪市・神戸市だけだ。
筆者は25年6月、日本経済新聞でこの問題を取り上げた。当時確認できたデータでは、統計がそろう21年までの5年間で、東京23区729人、大阪市131人、神戸市44人。合計で904人が、同居人がいるにもかかわらず、死亡から4日以上たって発見されていた。
大阪市では22年以降も毎年20人以上の「同居の孤独死」が確認されている。