老老介護時代の見えない危機

なぜ、このような事態が起きるのか。

大きな要因の一つが、高齢化に伴う「老老介護」の増加だ。

『家族じまい・ひとりじまい 誰もがおひとりさま時代の終活最前線』(著:高岡憲人/日経BP 日本経済新聞出版)

厚生労働省が発表した25年の国民生活基礎調査によると、在宅で介護する世帯では、介護を受ける人と主な介護者がともに75歳以上の割合は37.1%に上った。01年の18.7%からほぼ倍増し、過去最高を更新した。

高齢の夫婦が2人で暮らしている場合、介護を担う側が突然倒れてしまうことがある。そのとき、認知症や寝たきりなどで介護を受ける側が周囲に助けを求めることは容易ではない。

大阪府監察医事務所が24年までの8年間の事例を分析したところ、発見が遅れた理由で最も多かったのは認知症の55件だった。入院の30件、障害・精神疾患の20件が続く。

老老介護だけでは説明できないケースもある。家庭内別居は18件、ひきこもりは11件確認された。

一つ屋根の下で暮らしていても、夫婦の不和や親子関係の悪化などから日常的な会話がほとんどない世帯は少なくない。「家族が一緒に住んでいるから大丈夫」という常識が通用しなくなりつつある。