人間の知覚は錯覚?

錯覚が生じるということは、人間のトップダウン的な捉え方が常に正しいわけではないことを意味しており、外界を間違って知覚してしまう恐れがあるのではないかと疑問がわいてくる。

その疑問は半分当たっていて半分間違っている。実際に私たちの知覚はすべて錯覚だという心理学者は少なくない。そう述べる学者が少なからずいることを考えれば、半分当たっている。

『ミスによる事故をどう防ぐか-4種のヒューマンエラーと組織の安全文化』(著:松尾太加志/中央公論新社)

しかし、現実には人間がトップダウン的に知覚している世界と物理的に存在している世界とが大幅に異なってしまうことはないので、間違って知覚してしまうことはめったにはない。

私たちが錯覚の現象だとしてデモンストレーション的に示されたときにその違いに気づく程度であり、現実の生活の中でその違いが問題になって生活に困るなんてことはほとんどない。その意味では、人間が間違って知覚してしまうのではないかという推測は半分間違っている。