「パンを焼くことはただの家事ではない。自分でつかみ取った一片の尊厳である」(撮影:サバラ、撮影日:25年9月7日)

学ぶことだけは誰にも奪わせない

25年3月にはイスラエルがガザ地区を完全封鎖したため、食料や水が入ってこなくなった。

「わが家でも小麦粉が完全に底をついてしまいました。残っていたのは乾いたパスタが少しだけ。私たちはそれを宝物のように見つめていました。まるで飢餓の海に浮かぶ命綱のように思えたのです。

ほかに選択肢はなく、パスタを丸一日水に浸してやわらかくした後、水気を切ってこね、パンに似たようなものを作ろうと試みました。でき上がったのは味も匂いも温もりもない、ただやわらかい質感だけが似ている名ばかりのパンでした。

それでも私たちは決して倒れません。静かに涙を流し、パスタをこねて『パン』を作ります。抵抗しないで死ぬことを拒否し、尊厳を持ってそれを食べます」

サバラさんのテントには電気もインターネット環境もない。書類を詰めたバッグと充電不足のノートパソコンを抱え、インターネットに接続できるところを求めて歩き回る。燃料不足と交通機関のマヒのために何時間も歩き続けなければならない。