バリキャリママの林優子は、夫が主夫。年下の部下・赤坂に猛アタックされ……。『恋する母たち』3巻より ©柴門ふみ/小学館

性欲という名の修羅を飼っている

どこまで濡れ場を描くのかも悩ましい問題でした。けれど女性を赤裸々に描くと決めた以上、攻めの姿勢でいくことに。春画などを参考にしながら大胆に描くことにしました。予想通り、私の周囲では赤坂が全裸で優子に迫るシーンに発情する女性が続出してくれましたね。(笑)

もとより「恋愛の正体は性欲だ」というのが持論ですが、若い頃にアイドルに熱を上げるのもエロスだと思うし、年配女性が韓流スターに憧れるのもエロスの一環だと思うのです。エロスは本能ですから、封印してしまえば、どこかに不具合が生じる。そこで自分の中のエロスを認め、上手に発散していく必要があるのではないかと私は考えています。

とはいえ性欲をコントロールするのは至難の業。中でも更年期が始まり出す40代は翻弄される時期といえそうです。もちろん個人差があり、一概にはいえませんが、閉経前のホルモンバランスの乱れが性欲と直結している気がします。

かつて雑誌で「今リアルの恋愛」をテーマに取材をしていた時期がありまして、男女あわせて100人くらいに話を聞いたでしょうか。もっとも印象的だったのは、駆け落ち未遂をしたという女性。美人でハキハキとして聡明そうなこの女性が? と少し驚きながら話を聞いていたのですが、「私は女でいたかった」という一言にハッとしました。

彼女は性欲という名の修羅を飼っている。これからも性欲に翻弄されながら生きるのだろうと私は直感したのですが、それが幸せなことなのか、不幸なことなのかはわかりません。性愛を含む女性の生き方に正解はないのです。