『恋する母たち(1)』小学館
 『恋する母たち(7)』小学館※最終巻
 柴門ふみさんのエッセイ『結婚の嘘』中央公論新社

本能と理性のせめぎ合いにどう折り合いをつけるか

おかげさまで、連載を始めたときからドラマに、というお話があって、3年半ごしでいよいよ放映となります。脚本は大石静さん、主題歌は松任谷由実さんで、大変ありがたいです。杏役に木村佳乃さん、優子役に吉田羊さん、まり役に仲里依紗さんとキャスティングも最高です。ほぼ原作通りと聞いていますが、もしかしたら、放映を一番楽しみにしているのは私かもしれません。

女性の40代は恋の熟齢期といえるでしょう。子離れの寂しさが募る時期であり、そこへ、夫とはすでに男女の関係ではないという虚しさが重なる。すると私の女としての人生はこれまでなのかという焦燥感や絶望感に襲われる。そんなときに女性として見てくれる男性に出会ったら。優しくされたら。好意を寄せられたら、トキメキを覚えるのは無理のないこと。なのですが……。

杏とまりと優子が、自らの本能と理性のせめぎ合いにどう折り合いをつけるかが最大の見どころとなるでしょう。3人がそれぞれの結論を導き出すまでの過程を、ハラハラドキドキしながら見守っていただきたいと思います。

年齢的に、『恋母』でもう連載は最後にしようと思っていたんです。でも結果的に、この作品で漫画の奥深さと作る楽しさに改めて目覚めてしまい、もっと面白い作品を作りたい、もっと上手く描けるはずだと欲は深まるばかり。

わたなべまさこ先生が90歳にして新連載を始められたのだとか。希望の星です。私にはほかにやりたいこともないので、今はひたすら神様に「末永く漫画を描いていけますように」とお祈りしています。